SW88MLM (High Tension Dragger)
Lure : 8-40g , Line : 8-16lb ( 参考数値 PE0.8-1.5号 )
『ハイテンション・ドラッガー』という サブネームの通り、
曲げる事でロッドのトルクを最大限に引き出す事を楽しむロッドだ。
コンセプト文にも書いたが、
イメージしたフィールドは河川であり、
太い流芯の中からビックフィッシュを引きずり出す事を考えている。
リールのドラッグの替わりにブランクを曲げ込み、
余計なラインを出さず大型のシーバスと対峙することを目的にしている。
リアグリップ長が長いと感じる方も多いかと思う。
これはファイト時に肘や脇に当てやすい長さを意識しての長さである。
確かにライフジャケットや厚着した際に干渉しやすい長さでは有るが、
流れのある河川で大型のターゲットとファイトした事のある方なら、
このリアグリップの意味が分かって頂けると思う。
大物対応と書くと太くて硬く曲がらないロッドをイメージされる方も多い。
確かに硬いことのメリットも多く、
張りが強いロッドは瞬間的に魚の顔をアングラー側に向かせる強引なファイトであったり、
スピンテールやバイブレーション系のプラグとの相性が高くなる。( SW92M が典型例)
だが河川において流れに同調させる様な釣りは硬いロッドでは難しくする。
イメージして欲しい、川幅が適度に広いタイダルリバーで、
橋脚によって流れにヨレが発生し魚が留まりやすい環境が出来ている。
大概は流下してくる餌を補食しやすい位置に定位しており、
アングラーは魚の目の前にルアーを送り込み誘いを掛けていく。
流れに逆らうことはせず、ドリフトさせるイメージで狙いのポイントへ流し込む訳だが、
この際ロッドのティップに適度なシナリが有ることで
『流れ』を感じやすく安定してルアーを流し込み易い。(これは他のロッドにも言える)
全ての釣りにおいて同じく硬い竿ほど魚が暴れ易く、柔らかいロッドだとその逆だ。
シーバスの面白さはエラ洗いなどの大胆なファイトが魅力であるが、
その反面に執拗に暴れることでバラシ易い面もある。
そこで曲がるアクションに設定し、フックが伸びてしまったり(時には折れる)、
フックの刺し傷が広がりバラシ易くなることを防ぐ訳だ。
またラインテンションを一定に保ち易く、魚の引きに追従することも狙いである。
川の流れる力と魚の抵抗が加わり、ロッドは大きく曲がりこむ。
だが使用するアングラーは曲がった際に、安心感のある粘り強さを感じるだろう。
ファーストテーパーのロッドに馴れてしまうと、ベンディングカーブの頂点がバットに近くなるため、
些かパワーが無いロッドと思われがちだが、このロッドは曲げ込むほど本当の力を発揮しはじめる。
一見細身で華奢ではあるが、カーボンを肉厚に巻き、
ナローテーパーに仕上げることでモッチリとしたアクションに仕上げた。
オフショアで青物などのターゲットを狙う際、
弊社のジギングロッドでも同じ様なアクションに仕上げることが多く、
大型を狙う時ほど曲がるロッドの方がキャッチ率が高いと感じている。
例えが極端になってしまったが、兎に角曲げて楽しむロッドという事だ。
さて、この機種に合わせるバランスを紹介しておきたい。
15~20g程度のミノーやバイブレーションプラグ等に対応している。
それより重めのルアーはヘビーシンキングのペンシルやジグミノー等、
ボリュームは少なく比重が高いルアーと相性が高い。
晩秋の河川などでは大型が狙えることも多く、この機種の出番が多くなる。
ぜひランカーハントの一手として選んでみてはどうだろうか。
Staff Funaki
この記事は2012年5月に掲載した文章を改筆したものです。
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